シェディングの実際例 その2

Jan,28,2023

 当院で認めたシェディングを疑う例をご紹介いたします。

 6○歳男性、殺ワクは打たないようお伝えし、ご理解され未接種。奥さんも未接種、職場の方々は2/3が接種されています。

 基礎疾患として、35歳からの高血圧症、2008年からの糖尿病を認めて加療中の方です。

 令和4年10月頃から、一瞬だけの認知障害なのですが、3という数字が分からなくなった、車で左に曲がろうとして左か右か分からなくなった、今まで書けた漢字が書けなくなった。
 
 という訴えがありました。
 
 COVID-19感染症の後の後遺症として、ブレインフォグを認めることがあります。

 ブレインフォグの症状の中に、看板に書かれている字は認識できるけれど、何が書かれているか理解できないと言う症状を認めることが多いと聞きます。

 2022年の春頃の話ですが、ブレインフォグを認める例では、脳血流スキャンで後頭葉の血流が低下していたという所見が認められているようです。

 上記の60歳代の方の認知機能が一瞬低下したと言う症状は、ブレインフォグの症状に少し似ています。

 2022年11月の時点では、論文によると、ブレインフォグの一つの原因として、脳内の微小血管内で血栓ができることで生じると考えられ、調べてみると凝固系が亢進してる場合が多いとのことです。

 この方の凝固系を調べてみました。結果は全く異常がありませんでした。

 正常だったとしても、データには現れない凝固系の亢進が起こっていても不思議ではありません。

 論文によると、こういったブレインフォグの症状に対し、第Xa因子阻害剤が効果があるとのことです。

 試してみましたら、投与後10日後に診察のところ、内服2-3日で症状は全く消失していました。
 現在も内服開始後2か月半が経過しますが、症状は全く消失しています。

 このようなブレインフォグのような症状は、2度と診ることはないと思われますが、シェディングによるブレインフォグ様症状ではないかと考えています。

 もし、同様の症状を認める方がおられましたら、シェディングによる可能性を考えてみて下さい。

  
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